保護者から投稿   第36回 保護者代表



 

タイトル:心絵 

サブタイトル:思い出のオール 

主演:野球少年Y

出演:家の人たち

特別出演:歴代監督のみなさま

脚本:前応援団長

ストーリー:少年野球を卒業したばかりの野球好きの少年が、普段何気なく聴いていた曲の歌詞から、思い出に浸り、チームの仲間との別れを実感。その後、監督の言葉を胸に、夢の舞台にかけあがる事を誓う、愛と涙の感動巨編!

〜それでは、間もなく開演です。『心絵』を聴きながら、お読み下さい。〜

納会が終わってしばらくたった週末。

いつもの時間に目が覚める。

でも何か物足りない。そう僕はもうオールを卒業したんだっけ。

朝の練習に行く必要もないから、こんな時間に起きなくてもよかったんだ。

もう1回寝ようか。でも、眠たくないし。

何をしようかな。

ママはいつものように昼まで寝てるし、パパは兄ちゃんのラグビー試合応援に行くって言ってたし、もう一人の兄ちゃんも部活だし。

暇だな。そうだ。久しぶりに時間もあるし、『メジャー』でも見るか。

もちろん、僕が一番好きな、三船リトル時代の吾郎君を。

〜横浜リトル戦が収録されたDVDを取り出し、プレーヤーに入れる〜

久しぶりだ。

〜小学館のテーマソングの後、エイベックスなんちゃらが聴こえる〜

さぁいよいよだ。

〜主題歌、ロードオブザメジャーの唄う『心絵』が流れる〜

描いた夢とここにある今〜♪

何度聴いてもいいな。やっぱりメジャーの主題歌は『心絵』だよな。


過ぎゆく春を惜しみながらも、僕らの幕開けたあの夏〜♪

あれ、今まで何気なく聴いていたけど、今日は何かわかるぞ、この意味が。

春の全神戸での逆転負けから、あんな悔しい思いを二度としないように、必死に練習を頑張って、僕らは段々強くなってきたんだ。

そして、夏の全神戸では次々と強敵を破って3位に入賞した。ただ、準決勝の唐櫃戦では、初回に2ラン打たれなかったら、僕らが優勝してたかもしれないよな。打つなよY本〜、あの時のお前、かっこよすぎだぞ。
でも、甲北夏季大会ではその借りも返して、優勝したけどな。

色んな事を分かりはじめた秋と〜♪

半袖じゃちょっと寒くなってきた頃からだよな。後、2ヶ月で少年野球もおしまいだから、1試合、1試合を大切に真剣にプレーしろってパパがよく言ってたな。あと、週末に雨が降ってたら、雨でも試合ぐらいできるやろがとか、中止決めるのが早すぎるねんとか、パパよく怒り狂ってたな。ああ見えてもすぐ怒るから、恥ずかしいわ、息子として。

でも、みんなもシニアに行くとか、中学は部活で軟式するとか、本格的に将来の話をし出して、みんなと別れる日も序所に近づいてきたんだなという気持ちが、わいてきたんだよな、この頃から。


何か失った冬〜♪

外は雪が降っているけど、野球がしたいな。でも、もうあのオールの仲間とは二度と同じチームで野球を一緒にする事はないんだ。そう思うと、ぽっかりと胸に穴が開いたみたいで、うっ、涙で前が見えなくなってきた。本当に終わったんだな、僕の少年野球。

涙枯れるまで、まだ出ぬ答え追い続けて、涙晴れるまで我がゆくえ、迷いながらも描きかけの今刻む証、この手で〜♪

でも、泣いてばっかりはいられないよな。オールの仲間はバラバラになるけど、中学に行ったら、K本監督に声出せって言われ続けてたから、まずは大きい声を出すつもりだ。Y部監督にはボール呼べって言われてたから、ボールから逃げずに前面捕球する事を心がける。Y井監督にはう〜ん、なんだったっけ、とにかく、毎日素振りもし、新しい仲間たちと練習を一杯頑張って、この手でオール以上のいいチームを作るぞ。

少年野球は終わったけど、僕は野球が好きだから、続けていくんだ。

自分の夢に向かって。

THE END ()

 第36回卒部生保護者代表代行 森脇睦夫